バリの
ジンバランビーチ沿いに「ビーチカフェ」が軒を揃えて立っています。
日本のガイドブック等には「イカンバカール」と紹介されていますが、現地正式名称は「ビーチカフェ」
イカンバカール(Ikan bakar)はインドネシア語で焼き魚のことです。
ビーチにテーブルを置き、ココナッツを乾燥させた燃料で魚、カニ、エビ等を焼いてくれます。
ココナッツ独特の風味が焼き物について、ちょっと
変わった味です。
夕陽をながめながら食事を始め、しばらくすると夕闇に包まれ、お月様&満天の星、海上沖にはン・グラライ空港、
飛行機の離着陸が遠くに見えます。
まず、店頭にある氷づけとなった食材、一見非常に新鮮そうな魚介類を選びます。
どの食材も100gいくらなので、気をつけてください。
値段を聞いて、
「おっ!安い」と思っても、それは100gです。やつら、だまし討ちのようなことを平気でしますから。
食事は、選んだ食材はすべて焼いてきます。
白ごはん、サンバル(チリソース)、サユール(野菜)はセットになっています。
これだけの説明なら、「ええとこちゃうの?ロマンティックで」とか、「新鮮な魚介をココナッツで焼くなんて、是非食べてみたい」と思う方も大勢いるのでは…
10年ほど前、
おっさんの行きつけの『大阪阿倍野・だるま寿司』の大将がバリに同行しました。
だるまの大将、ビーチカフェに行ってみたいと。
「高橋さん、今晩はビーチカフェに行きましょうや」
そのころ、おっさんも決してビーチカフェ、嫌いではなかった…
「オッケー、ちょっと高いけどな」
ビーチカフェ、ビーチ沿いに2~3km、続いています。
観光客は、全てガイドがバックマージンの契約をしている店に連れて行かれます。
味はどこも同じようなもの、そりゃ、食材も料理方法も同じですから。
夕方、一仕事終えて、ビーチカフェへ
車で向かいます。
ジンバランビーチの最北からビーチ沿いへ。
「おっ!市場や!ここ、魚市場やん」
「ほんまや、くっさー」
ビーチカフェの北のはずれが魚市場でした。全く知りませんでした。
漁師がカヌーの変型みたいな漁船(ジュクン)で漁をし、ダイレクトにこの市場に販売に来ます。
漁協なんぞあったもんじゃありません。
気温34度、屋根はありますが、氷なし。魚はすべてそのままか、ヌルい水中。そりゃ、臭いわ!
だるまの大将
それでも興味津々。
「おー!これ、安う~い。うわっ!このサイズのシマアジ、なかなかおらんで~」
それもそのはず、日本では高級魚のシマアジ、カンパチがごろごろ。1匹500円しません。日本なら1㎏ん万円かも?っていう魚も。
だるまの大将、片っ端から目利き。エラ、めくり倒します。
「うわっ!あかん、こんなん食ったらあかん」「げっ!いっぱいいっぱいや。ギリギリやなあ」
とわめいています。
そりゃそうです。インドネシアの一般家庭、生で魚、絶対食べません。必ず
熱を通します。
しかし日本人の新鮮は、生食が基本、寿司ネタベースで考えたら食べられる魚は
ありません。
「ビーチカフェもここで魚、仕入れてるんでしょ。やばいなあ… そやっ!俺が出来るだけいいの選ぶから持込みしましょうや。ごり押しでいけるでしょう」
「いけるやろ、ちょっとつかませたら。グチャグチャ言うたら、投げたれマスター」
決定です、持ち込み。魚を焼いて食べさせる店に、魚を持ち込み。私たち、常識人。
早速、魚とカニ、エビをだるまの厳しい目で選択、仕入れ、ビーチカフェと交渉。
AJIがやりにくそうにカフェの経営者に伝えています
経営者、こちらをちらちら。ちょっとビビり気味。
だるまの大将、柔道3段、182cm・106㎏、丸坊主、二の腕回り56cm。どう見ても玄人。
「わかった。1匹料理代で100,000ルピアください。それと、テーブルチャージ一人50,000ルピア」
交渉成立。
だるまの大将の家族計5名と私、AJIの合計7名。
ビール10本(アルコールはビールのみ・当時)500,000ルピア、持込み10匹で1,000,000ルピア、チャージ7名350,000ルピアの計1,850,000ルピア(約25,000円当時)が
お会計のはず。
一人当たり3,500円強、材料費を入れても4,000円。インドネシアではバカ高、日本ではリーズナブル。
「あー、腹いっぱいや。帰ろうか。おあいそ」
「テリマカシー、トータル3,500,000ルピアです。テリマカシー」
「おう?コラ、値段間違えないか?も一回、値段言うてみぃ」
「3,500,000ルピアです。テリマカシー」
「頭、悪いんか?計算、できへんのか?」
「料理代、100g100,000ルピアです。だから3,500,000」
これです、インドネシア人。実は持込み交渉時、だるまファミリーはビーチで遊んでいました。
ややこしいおっさん2人が客だとと思ったのでしょう。
ファミリーを見て、子供がいるから金はとってもいいと考えるのが
インドネシア人。
「1匹、言うたやないか!コラ、店つぶしてまうぞ!」
だるまが怒ります。だるまです。炎の達磨大師。
おっさん、嫌な奴です。だるまの耳元で、
「ナメられたもんやなあ、柔道四国チャンピオンも。完璧にナメられとるわ」
あおり倒し。だるま、達磨を通り越してまるで
金剛力士像。
「うらっ!ほんまにつぶしたる!」
テーブルを海に向かって投げる投げる。
おっさん、横でこそっと椅子を投げる。
「け、警察呼んでくれ!警察」
バリの警察?なんともありません。人、殺してなければ
ワイロつかましゃ、帰ります。
経営者、
「もう、やめてくれ~。お金、いらない、帰ってくれ~」
泣き出しました
AJI,ほっとしたように、
「1,850,000ルピア、払ってあげてね」
もちろん、
飲み食いした正当な金額は払います、私たち、常識人。
1,850,000ルピアを払い、冷えた
ビンタンビールをお土産に5本頂き、お帰りです。
「ビーチカフェ」正直、雰囲気だけのものです。高いし、はじめは珍しい焼き物も、食べているうちに必ず不味くなります。新鮮そうな魚、氷につけているだけです。
トイレは我慢しましょう。食べたもの、全部吐きます、間違いなく。
しかし、ビーチを流しのバンド
がやってきます。
なかなかの腕です。
スペイン人御一行様に流しのベサメムーチョをプレゼントすると、必ず踊りだします。
ごちそうさまでした。