神戸香屋のバリスタッフ、AJI。

インドネシア人には珍しく、お金

にきっちりしています。
お金の面では全幅の信頼を置いてかれこれ18年、一度もお金のトラブルはありません。

おっさん

、すぐ人を信用してしまいます。周りに「やめろ!」と言われますが、AJI

に仕入れ用の大金を平気で預けます。
しかし!

問題がないわけではありません。AJI

、結構敬虔なイスラム教徒…
インドネシアは、人口の90%以上がイスラム教徒

です。バリ人はバリヒンドゥーですが。
インドネシアのイスラムは、ほんの一部を除いてアラブの過激派のようなことはありません。
ただ、その一部が残念ながらテロを起こしたこともありましたが…

AJI

の問題… それはイスラムの偉いと言われている人にとても弱い、と言うか騙されていても気が付かないこと。

ある日、

「高橋さん、私の知り合いにとても偉い人がいる。イスラム教の祭祀の息子さんで、行く行くはインドネシアのイスラム教のトップテンに入るひと。一度、会ってください」

「ん?俺はブッダ。真言宗。イスラムの偉い人は関係ないやろ。なんで?」

「この人、孤児をたくさん面倒みている。自分の家に住まわせて、食事や衣服もちゃんと与えている。勉強も教えている。たくさん偉い人も知っているからエキスポートやインポートにメリットあるかも」

「ふ~ん、まあ、会うだけ会おうか?」
というわけで、AJI

曰く
、【イスラム教の偉い人】に会うこととなりました。
道中、一生懸命にその人の功績を語ります。聞けば聞くほどマユツバ

何かおかしい感満載…

しかし、AJI

は信頼している人、憶測の批判は控えます。

「そうそう、その人ブラックマジックも使える。この前、私の飲んでいたコーラをブラックマジックでウイスキーに変えた」
会うまでもなく、予感99.99%的中…

バリの田園地帯、結構大きな屋敷がその偉い人の家

です。

「ハロー、アパ・カバール?」笑顔でお迎えいただき、オロナミンCをおもてなし。
確かに、子供が20人くらいいます

。しかし、子供、裏の建物の中でみんな何かしています。(

)

「子供たちは、何をしているんや?テレビも見ないし、遊ばないのか?」聞いてみました。

「家の手伝いをさせている。小さいうちからちゃんと教育しなければ」
たいしたものですわ、本当なら。

偉い人

、「孤児を引き取り、イスラムの教えを説き、ちゃんと教育を受けさせている。しかし、どうしても金銭的に無理がある。自分の稼ぎではいっぱいいっぱいだ」
と、言う意味合いのことを何回も何回も力説。?????


「おい、なんで俺にこんなことを言う?何を求めているんや、ここは?」
AJI

、神妙な顔をして、

「私もここに寄付をしている。高橋さん、お願いだからここに寄付をしてあげて。かわいそうな子供たち、助けてあげて」
おっさん

、身内は信用し過ぎるくらい信用します。しかし、その偉い人、寄付を募っているその右腕、キラキラのゴールドのブレスレット、首には重たそうなゴールドのネックレス

。
信用できるかい!


「AJI、お前は何を見てるんや?ここの何を信用している?」

「子供たち、かわいそうな子供たちを助けたいんです」

「そうじゃない、この偉い人の何を見てる?なんで信用してる?」
AJI

、困ってしまいました。偉い人、日本語は全く分からないのでニコニコ

。
はっ!急にいいことを思いつきました。


「AJI、このオロナミンC、今ウイスキーに変えてみてくれ。そうしたら、1000万ルピア寄付する

」

「えっ?できますよ、この人なら。簡単です」
笑いをこらえるのに困るほど、AJI

は真剣に信じ切っています。

インドネシア語で、リクエストを伝えます。
偉い人

顔色が変わると同時に、おっさん

にメンチ。中途半端なメンチではなく、強烈メンチ切り

おっさん

、満面の微笑み返し、「ミンタ・トロン」インドネシア語でお願いしますと。
偉い人

、怒ることもできず、しかしきつい口調、早口でAJI

に何かを言っています。
AJI

、少ししょんぼりしながら、

「高橋さん、今はできない。今日は子供たちにたくさんのパワーを使ったから、今はパワー出ない。病気の子供がいて、その病気、今日パワーで治したらしいからパワー使い果たしてしまった」
これ、本気で言ってるんですよ、本気で。

偉い人

、おっさん

を睨み付け、プンプンしながら奥に下がっていきました。
おっさん

、子供たちのいる建物を覗いてみました。
10歳以上とみられる子供

は洋裁をしています。7~9歳くらいの子供

はできた服を袋詰め。
小さい子供

は袋詰めを終えた服を段ボール箱に入れています。
確認したわけではないのではっきりとはわかりませんが、子供を働かせて利益を得ていることは間違いなしです。


「AJI、帰ろう。こんなところ、俺には用無い。お前も出入りやめろ」

「どうして?子供たち、かわいそうじゃないの?」

「お前のその気持ちはいい。でも、ここの偉い人は絶対裏がある。お前、マジックもまだ信じているのか?仕込みができてないだけやろ!」

「そんな… 本当にコーラがウイスキーになったよ。イスラムの偉い人はブラックマジックが使えるよ」

「お前はおめでたすぎるやろ。とにかく帰るぞ」
AJI

、帰り道は無言です。一言ももしゃべりません。

ホテルに帰るとWINATA

が来ていました。

「高橋さん、どこ行ってたの?」

「AJIの知り合いのイスラムの偉い人の所。ブラックマジック使えるらしい人」

「あ~知ってる、あのインチキ野郎ね。あいつ、孤児を働かせて金儲けしてる悪い奴。なんでそんなところに行ったの?」
AJI

、遠慮のないWINATA

の言葉に真っ赤な顔をして

「今日は帰るね」帰っていきました。
それから2か月後、AJI

からこんな言葉が。

「高橋さん、ごめんなさい。あのイスラムの偉い人、パクられた。詐欺で」

「やっぱりな、子供たちはどうなった?」

「あの子たちはいろいろな引き取り先に行った。私、500万ルピア以上、寄付したのに」

「あきらめろ。お前がアホや、しゃーない」

「もう騙されない。私、よく人を観察することにした」

「でね、高橋さん、いい話あるの」
AJI

、図解付きでインドネシアのねずみ講の話を始めました。

「最近知り合った、ビジネスの偉い人、すごいよ。何もしないで、お金がお金を生む。会ってみる?」
要るか!このバカ!

