7~8年前、驚きの事実が発覚しました。
日本では考えられない出来事でした。
ある日、その日の仕入れが終わり、その頃はまだ食べていたインドネシア料理
を食しにクタのナイトマーケット近くにある「DEPOT KUTA」というレストランへ。
ここは安くておいしい
と、現地に長期滞在している日本のサーファーに人気の店
。
しかし、レストラン
とは名ばかり、ほとんど屋台
。
(ちなみに神戸香屋のミナミ
はこの店でカエルとヤギにチャレンジ、はまりました
。今度は犬の串焼きに果敢にも挑むそうです
)
ヤモリに見守られながら、ナシゴレン、ミーゴレン、カンクン(空芯菜)炒め、アヤムゴレン等をオーダー、黄色く黄ばんだジョッキでビール
です。
何回来ても、店の汚さに慣れるのにビール大びん2本
を要します。
その日もきっちり2本飲み、ほろ酔いで落ち着いてきたところで食事です。
「やっぱりうまいな、味は。ほかの店とちょっと違うわ」
「そう、ここは中華風のインドネシア料理。味が日本人好きね」
AJI
はこの店が好物です。ニコニコしながらサテ・カンビン(ヤギの串焼き)をほおばっています。
WINATA
はカエルの足を原形のままピリ辛炒めにしたものにしゃぶりつき…
私は、ミーゴレンで結構。
と、その時、
「あっ!高橋さん、あれ。あの人」
「ん?おっ!I
のオヤジやないか!」
レザーショップの金をすべて使い込み、逃げているI
のお父さんが来ています。若い女
連れで。
何回かI
に会わされたことがありました。
I
は一人暮らししていて、実家に両親と妹がいると。
その実家にも行き、両親、妹と食事をしたこともありました。
しかし、I
が逃げた後、その実家に行ってみましたが、別人が住んでいたのです。
「あのオヤジ!女連れてチャラチャラと!ちょうどええわ、金取ったろ」
「ちょ、ちょっと… 高橋さん、それはダメね」
「なんでや!息子の借金、親が返してもええやないか!」
「ち、違うの。ちょっと違う…」
なぜか、AJI
&WINATA
の歯切れが悪く、バツが悪そう。
「お前ら、なんや!Iのこと、なんか知ってるのか!」
「違う… わかった、お父さん?連れてくる」
AJI
がオヤジのもとへ行き、話しています。
オヤジ
、私を認識、しかし驚いた風も何もなく、にっこり笑って手を振ります。
「おっさん、なめとんな。息子、飛んだっていうのに余裕やないか!」
「だ、だから… 今からちゃんと話するから…」WINATAが申し訳なさそうに言います。
「ハロー、アパ・カバール?」
「アパカバールちゃうわ!Iどこじゃ!」
「I?知らないね。私、関係ない」
「何言うとんねん!息子やろ!おっさん、代わりに200万円払え!」
AJI
が重たそうに口を開きます。
「あのね、高橋さん… この人はIのお父さんじゃない。ただの知り合い」
「なんじゃそれ?家、行ったやないか!お父さんとお母さんと妹っておったやろ」
なにがなんだか?どうなっているのか?
オヤジさん
、笑いながら、
「私たちは、I
に頼まれてファミリーのふりをした。日本人のオーナーが来るから、安心させたいからってI
は言っていた。20万ルピアで引き受けた」
なんじゃ?なんのこと?
「あのね、高橋さん、この人たちはレンタルファミリー。I
が高橋さん、安心させるためにファミリーを見せた。でも、本当のファミリーじゃない。レンタル」
レンタルファミリー。
日本にあるでしょうか?
I
は私にファミリーを見せることで安心させ、レザーショップ
への投資を引き出したということです。
しかも、このお父さん役、結構な金持ち
。一流ホテルのガイドを取りまとめている会社を経営しています。私が行った家はこのお父さん役の持ち物、今は人に貸していると。
「なんでそんなに金あるのに、20万ルピアなんかで引き受けた?訳、わからんわ」
「それは、I
が日本語じゃべれたから。私も日本人と知り合うのはいいこと。しかも2時間くらいで20万ルピア。おいしいね」
「お母さんと妹は?あれは誰?」
「お母さんは隣りの人。妹は本当の私の娘。私はこの人と再婚する」
連れている若い女を紹介されました。知るか!勝手にせぇ!
AJI
&WINATA
を問いただします。
「お前ら、知ってたんか!お前らもグルか!ええっ、コラ!」
「ファミリーじゃないのは知っていました。でも、I
はあの頃は高橋さん騙すつもりはなかった。本当にレザーショップ、オープンしたかった。で、本当に高橋さんに利益渡そうと思っていた」
「それがなんや?それとレンタルファミリー、関係あるか?」
「日本人はインドネシア人、なかなか信用してくれない。だから、ファミリー見せた」
「で、お前らはなんでそれを言わなかった?」
「Iもその頃は悪い奴じゃなかったから。ビジネスできて、もうかれば問題ないと思っていました」
AJI
もWINATA
も悪気があったわけではありません。
しかも、その頃は二人ともホテルで働いていました。私にはあくまでもサポートしてくれている程度。
責任はありません。
なんともやりきれない気分です。
ここまで文化と国民性が違うのかと。
確かに、初めから騙すつもりではなかったんでしょうが。
終わったことです、終わったこと。
さあ、明日も仕入れ。
カラオケ、行くか!なあ、AJI
,WINATA!
マッサージも呼ぼうっと。