JALがまだ関空… 空港チェックインから3時間半経過、本来ならジャカルタ到着の時間です。
汗だくで走って来た、JALの職員、まだ若い兄ちゃん
です。
「す、すみません。カウンターで何も言われなかったですか?」
「何かってなんや!何か言われなかったって何のことじゃ!」
私、気は短いのですが、あまり初対面で怒ったりしません。
しかし、JAL、何の権限もないような若者をよこし、「何か言われなかった?」
アホか!何か聞いてたらお前呼んでないやろ!
「あっ、あっ、あの… プサンから関空、それからデンパサールというルートの機材なんですが、プサンが大雪で8時間ほどフライトが遅れました。で、もうすぐ関空を飛び立ちます」
「ふ~ん、ほんでお前らは客に何の告知もせずに空港内で8時間以上待てってか。よう出来とるわ」
「い、いえ… あの、ツアーのお客様にはツアー会社から連絡がいき、近くの弊社が用意したホテルに…ツアー以外のお客様にはカウンターで告知したうえでホテルまでお送りすると…」
「ふ~ん、ほな、なんで俺らはここにおるの?」
「い、いや… カウンターの人間のミスかと」
「ボケ!お前ら航空会社やろ!客がチェックインしたかどうかわからんはずないやろ!」
「カ、カウンターが… 連絡が…」
怒りの絶頂です
。カウンターの人間もダメですが、国際線の客が搭乗手続きしたかどうか、現地職員が把握していません。
しかも、乗客名簿を確認もせず、連絡を取ろうと努力もしていません。
プサンで遅れがかなりの時間になることは午前中、しかもかなり早い時間でわかっていたはず。
ホテルに連絡するくらい、小学生でもできます。
「お前、下っ端か!もっと偉い人間、呼んで来い!」
「は、はい!少々お待ちください」
たぶん、連絡を受けてえらいさん
も空港には向かっているのでしょう。
オヤジ
、私とJAL職員
のやり取りをサンドイッチをほおばりながら聞いています。
「今、関空?何が?どないした?」
「聞いてなかったんかい!まだ、関空飛び立ったところや言うてたでしょうが!」
「何が?」
殺してやってもいいですか?
待つこと10分、えらいさん
が来ました。
年のころなら60代前半というところでしょうか。
「いや~、すみませんな。連絡の不行き届きで」
おっさん、何か勘違いしています。私たちの向かいのソファにドッカと腰かけ、足を組みます。
「おい!おっさん、天下りか!国交省の天下りか!」
おっさん、ハトがまめ鉄砲を食らったような目をしてびっくりしています。
「な、なにを… い、いや、申し訳ない」
「コラ!やっぱり天下りか!おっさんの態度は世間知らん、一般人下に見てる官僚の態度じゃ!ナンボ偉いかしらんけど、人に詫びる態度ちゃうやろ!」
おっさん
、急いでソファから降り、床に正座をします。たぶん、上司以外に叱咤された経験がないのでしょう。デンパサール勤務の天下り、どうせ官僚時代の地位も大したことありません。
そこに先ほどの若い職員
がやってきて、おっさんに何か耳打ち。
おっさんの顔色が悪くなってきます。
「あ、あの… 今からでもホテルにどうぞ。お送りしますので…」
「コラ!今、何時や?なんやかんやでもう10時前やろ。今から?イミグレで出る手続きして、ホテル入ったら何時や?コラ!若いの!チェックアウト何時にするねん?」
「一応、2時半に飛行機が到着予定ですので… 3時半のボーディングと考えて1時には…」
「ボケ!たった2時間、ホテルでくつろげってか!そのために今からイミグレ別室行って手続きせぇっちゅうんか!」
「て、手続きは手前らがいたします」
「ボケ!本人おらんのにどうやってイミグレが確認するんじゃ!」
「あっ、あっ、い、いや」
アホです
JALの職員が一般人に国際空港の厳しさを教えられています。
当時、私毎月渡バリしていましたのでJALマイレージクラブのサファイアという実績と、なんとなんと!
オヤジ社長
、かなりJALの株を持っていました。個人にしてはかなりの株主。
その内容を名前から調べてきたのでしょう。若い職員の耳打ちはその内容のようでした。
「で、では、空港内のレストラン等、ご自由にお使いください。支払いはすべてJALが致します」
「買い物も?免税店で買い物もええの?」
オヤジ、やっと口を開いたらこれです。ええわけないやろ!アホ!
「ほな、ずっとついて来いよ。で、支払いだけしていけよ」
「いや、そうじゃなくて… JALに請求しろって言ってくだされば…」
「おっさん、インドネシア人が理解できるか?JALの支払いやねんって言うて」
「言っておきます。すべての店舗に。間違いなく」
なかなかいい条件です
。許してやろうかと… その時!
「コラ!お前らの世話になんかなるか!」
オヤジ、何をトチ狂ったか叫びます。今、事情が呑み込めた???
「JAL?なんじゃ!いらん、いらん!金、困ってない」
そういう問題か!
結局ラウンジで爆睡。その間、パーサーから機長からがお詫びに来ます。
もうええ!もう謝られたら腹が立つ、オヤジ
のアホに。
午前3時半、ボーディング、4時テイクオフ。
周りの客はJALの用意したホテルでゆっくり休養、食事
も出たとか。
午後3時半関空着。
オヤジ、関空でトイレに行っている間に空港バス
が出発の時間です。
とっとと帰ってやります。
もう、限界じゃ!
余談ですが、オヤジ社長
、JALの上場廃止により大損こきました。
へっへっへっ…