
ばあさんの魅力のとりことなりながらも、なんとかビーズを購入、

村の有力者に渡しに戻ります。
しかし、サンプルが6種類1個ずつしかありません。1、2日で20個のサンプルを作らせるためには、型紙が必要だと言い出しました。

「パターンなんか、サンプルを基に作らせろや!」

「そんなん出来る人間居ない。スタンプ屋で作ってきて」

「スタンプ屋?なんじゃ、そりゃ?」
そういえば、街のあちこちに何屋かわからない屋台がありました。道路沿いにポツンと何軒も建っています。
その屋台すべてスタンプ屋、古タイヤを短時間で加工し、スタンプを作成します。
とにかく、サンプルを持ってスタンプ屋へ。サンプル通りのスタンプを古タイヤで作ってもらいます。

「オッケー、1つ1時間30分で作るね。1つ20,000ルピア(約260円)」

「6個作ったら9時間やないか!今晩もこの村泊まったら、俺死ぬよ」

「大丈夫、このあたり、まだまだスタンプ屋、あるから」
ということで、6件に分けてオーダーです。
なぜ

スタンプ屋がいっぱいあるかというと、バニュワギ村、印刷屋がありません。ロゴマーク等はすべて簡易のスタンプで賄うからです。しかし、やつら、いい加減ですが手先は器用です。
スタンプが出来上がるまで一休みです。

車の中で睡眠タイム。

梅ちゃん、苦しそうな顔で寝ています。私も寝ましょう。


<バリバリバリ、ブルルゥ~ン、バリバリ… シアパ!アパ・イニ!バギマナ!>

「うるさいのう!なんやねん!」

「もう~、あっ、た、たかはしさん!そ、そと!なんや?なんなんじゃ~」
「な、なんや!何が起こった?」
あまりのうるささに目が覚め、梅ちゃんが外を見ようとした時、窓から車内を覗き込むインドネシア人3人。目が合いました。
その後ろ、なんと

単車約200台、人間約300人が集合しています。おっさん御一行の車、取り囲んで…


「なんや?これ?」
あっけにとられていると、覗き込んでいたインドネシア人、ドアを開けようとします。
梅ちゃん、必死でガード、しかし、インドネシア人バールを振りかざします。

「あかん、こいつらおかしい!」

「梅、窓ちょっと開けろ。こいつら、何か聞いてみる」
少し窓を開け、バールを持ったインドネシア人に、

「なんや!俺ら、日本人や!なんか用か!」もちろんインドネシア語で叫びます。

「*$#&%?|”#’+><」
私、当時インドネシア語、ほんの少し言いたいことが言える程度でした。
ヒアリングなんぞ出来やしません。

「高橋さん、腹立ってきました。俺、このままボコボコなんか嫌です。やったろか!」

「梅、とりあえず、俺がこいつしばく。しばいたらバール、取り上げろ。ほんで2、3人バールでやってまえ!」

「オッケーです、でも、生きてられますかね?」

「知らんがな。このままこんな奴らに嬲り殺されるより一人二人しばき倒したろやないか!」
正直、ビビッてました。300人です、300人。でも、わけもわからずバールを振り回され、脅されてます。しかも、人相の悪いインドネシア人に。

「日本人、なめんな!おうっ!コラッ!」の精神です。
しかし、探している余裕なんかありません。意を決して、ドアを開け、バールを持ったインドネシア人に、

「オラッ!殺てもたらあ!」バールを捕まえ引きずり倒してやりました。
梅ちゃん、素早い素早い、相手の手首を踏みつけ、バールをもぎ取り上段に構えます。もちろん剣道なんか、かじっていません。
その瞬間、

Iと

AJIが大声で叫びながら帰ってきます。必死で走っています。



「たかはしさ~ん、後ろの

赤いフラッグ、出して~。赤いフラッグ~、早く!」

「フラッグ?旗?」
車の後部シートの後ろに、赤と青の旗が積んであります。とにかく、言われる通り

赤い旗を出しました。

よく見ると、集団の中にも何本か同じ旗印が。
怒号が歓声に変わり、300人がこぶしを突き上げ、一斉に叫びます。

「ウオーッ!メガワティ!メガワティ!」
全員、離れていきます。

「ごめんなさい、選挙の集まり、ここであったみたい。ほんと、ごめんなさい」
AJIが泣きそうになって謝ります。
民主化以降、初の国民参加型の大統領選挙が迫っていたインドネシア、このバニュワギ村はメガワティという候補の

応援一色でした。
集会所に留まっている車、バリナンバーで乗っているのは日本人。興奮したインドネシア人は攻撃の的に感じたみたいです。

Iと

AJIはトラブル防止の為、対立候補2人の旗印を車に積んでいたみたいです。
何はともあれ、助かったみたいです。IとAJIは私たちがあまりにも良く眠っているので、起こさずにスタンプを取りに行っていたのでした。

「もう、いや!俺、もう嫌です!帰りましょ、早く!」
梅ちゃん、泣き出しました。すまん!梅!
有力者にスタンプを渡しに。
有力者、

「お腹、すいたでしょう?」ナマズの天ぷら(インドネシアではよく食べられます)をおもてなし。

高級料理

です。
しかし、ナマズを飼っている池、最初に見つけていました。ガラスの入っていない窓から見えていました。

子供がトイレ代わりに使っている池…

さぞかし美味でございましょう。

もう、あかん!我慢の限界じゃ!梅、帰ろう!
2年に一度、沈没する

フェリーに乗って。